街の戦場で愛想を武器に

 

ヒビ コレ タタカイ

 

走れメロス、名誉の為に?

 

真摯であれ、疑いの為に?

 

 

薄暗がりの土壁を従えたジャックよ、

 

雨ばかり降らしていては 戦も出来まい。

 

だからって屋根をこしらえるな。

 

波風立てまいと

 

防風林を植え育てていては

 

話にもなりゃしない。

 

逆に夏を装えば

 

陰りは涼しく美しくも見えるだろう。

 

そのために自らを

 

太陽に見立てて過ごすジャックよ、

 

いつになったらコートを脱ぐんだい?

 

必須アイテムを詰め込んで

 

重くなったコート。

 

真っ向からぶつかることを避けるくせに

 

防弾仕様の分厚いコート。

 

クッションひとつで騙されるくせに、

 

流れ弾まで恐れるあまり

 

脱げなくなっているんだろう?

 

丁寧な手作りなのはわかるけれど

 

受け売りの継ぎ接ぎじゃないか。

 

 

自らを太陽に見立てて過ごすジャックよ、

 

そんなに冷たい太陽があるものか。

 

コートの内側で

 

北風が吹き荒れているはずだよ。

 

雨が降るのは当然だろう?

 

腹が減るのと同じなのだから。

 

それなら屋根も壁もなくていいだろう。

 

どうせそれらは見えやしないし、

 

結局、内側が荒れているんだから。

 

あそこにある太陽を見てごらんよ。

 

コートなんか着ていられなくなるはずさ。

 

 

街の戦場で愛想を武器に

 

ヒビ コレ タタカイ と

 

現実のような時間を生きるジャックよ、

 

安住の地があるとして

 

そこで穏やかに暮らしたいと望むなら

 

それは、生きることを辞退することだ。

 

そんな場所に風は吹かない、

 

けれど、太陽も無いのさ。

 

穏やかではあっても

 

温もりは無いだろう。

 

 

走れジャックよ、偽りの為に。

 

走れジャックよ、真摯の為に。

 

 

 

 

ーendー

 

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