なんでもない時間の流れを

 

小指と小指でせき止めて

 

その匂いを振りまいて

 

心臓の色を溶かして

 

名前を付けて

 

慈しむ 貪る

 

 

縛られまいと囲った三次元の

 

四角い塊に入って

 

震わせた喉が

 

ここは自由という空間だと

 

叫ぶ

 

何にもさわらない広げた手が

 

それを掴み取る

 

何色にも見えないそこの

 

端から端まで走って

 

息を切らして

 

しゃがみこんで

 

立ち上がって

 

もういちど端から端まで

 

走って 繰り返して

 

それでも自由だと

 

泣く

 

その名前をつぶやけば

 

すくわれるのに

 

裸足のつちふまずは

 

震えた喉をあざわらう

 

寂しいだけだと強がる背骨が

 

しっぽを欲しがるみたいに

 

 

瞳の奥はカラス色

 

ガラスの反射で

 

無い空に星を回して

 

皺を数えるように

 

息を吸う

 

胸が波打つ

 

流れが止まる

 

小指と小指の時間が

 

始まる

 

 

その名前を探すとき

 

名前が付いたとき

 

惑星ほしは丸いと気付く

 

 

 

 

ーendー

 

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