私の小さな田舎には

 

猫がたくさんいるんです

 

愛らしく鳴いて引っ掻いて

 

膝の上で眠るんです

 

 

私の小さな田舎には

 

犬も鳥もカメもいるんです

 

じゃれたりねだったり

 

そっぽ向いたり忙しくて

 

私をのんびりさせるんです

 

 

私の小さな田舎には

 

家族や友人がいるんです

 

私の名前と容姿と癖と

 

性格の大体をわかっていて

 

お菓子やお金やぬくもりや

 

常識やニュースや不可思議を

 

夕飯の味噌汁に溶かして

 

分けてくれるんです

 

少ししょっぱいときもあるんです

 

 

私の小さな田舎には

 

私の居場所があったんです

 

隠れてタバコを吸った橋の下や

 

学校の坂の下のコンビニの駐車場

 

テトラポットと砂浜の海へ続く道

 

寝転んで星を見た裏のコンクリート

 

それから

 

有限にレイアウトを凝った七畳半

 

スタンドライトとラジオを持ち込んだ

 

揺れるパイプベッド

 

 

私の小さな田舎には

 

私が居たんです

 

私の小さな田舎には

 

あなたも居たんです

 

 

未だ言いたくないさよならを

 

髪の先に引きずったまま

 

私はここに来ています

 

 

 

 

ーendー

 

 

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