まだぼくらは歩いているはずだ。

 

険しいとか平坦だとか寂しいとか

 

そういうことはいい、

 

まだぼくらは歩いているはずだ。

 

 

金縛りに遭って無理矢理に目を覚ます真昼、

 

一日の半分が過ぎたあたりで、

 

冷蔵庫を開ける。

 

おもむろに取り出した缶酎ハイは、

 

いつ買ったものかわかっている。

 

あの子が遊びに来た時だ。

 

冷蔵庫を開けるたびに、

 

だからだいたい毎日、

 

思い出しては、

 

こぼれそうになるため息を飲み込んだ。

 

僕は一口で酔った。

 

缶酎ハイは一口で半分になった。

 

炭酸はしっかり効いている。

 

気持ちは、

 

あの子は、

 

もうすっかり気が抜けてしまっているのに。

 

缶をテーブルに置いて、

 

もう一度冷蔵庫を開ける。

 

アテになるものは何もない。

 

座り直して、一口。

 

今度はちっとも減らない。

 

ぼくは炭酸が苦手だから。

 

そろそろ時間だ。

 

出掛ける準備をしよう。

 

 

 

 

ーendー

 

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