臨界

 

ノートを開く

 

この手が握るボールペンは

紙を黒く塗り潰すばかり

 

どうせ僕には

絵の一つも描けやしない

 

夢も希望も 野望すら 表せない

 

それでも

 

何かしたくて

うずうずして

苛立って

ぶちまけたくて

 

できなくて

 

ノートからはみ出して

机も床も壁も

真っ黒に塗り潰していく

 

でもさ

 

真っ黒になったら

もうそれ以上は描けやしない

嘘や欲望すら 闇の中

 

「ボクの自由はこの程度か?」

 

だから

修正ペンに持ち替えよう

それくらいの自由は

僕にも許されるはずだから

 

夢や希望 野望や欲望

苛立ちも

新しく始めよう

 

” 臨界点には 触れていない ”

 

 

 

ーendー

 

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