月と虫
虫の寝静まった真夜中に、
明かりをこうこう灯して、
考えあぐねる事の愚かさ。
行ないそのものの愚かさ。
あれこれと思考した所で、
実のところ答えは複数も、
既に決まり切っていると、
理解し思考断続の愚かさ。
日暮れに呆れる程に転寝、
ふと一時の心地を省みて、
枕を抱えて転がる惨めさ。
正しき行いの聡明なれば、
悪しき道理もまた聡明で、
矛盾だとか葛藤だとして、
己に甘んじた恥知らずと、
怠惰に溺れた自らを貶し、
謙遜とは世辞にも言えぬ。
愚か者と言われ開き直り、
道を転じても輪をかけて、
わかつておりますと舌先。
明かりをこうこう灯せば、
月には向かわぬ虫の賢さ。
教われど倣わねば愚かと、
虫の寝静まった真夜中に、
明かりをこうこう灯して、
考えあぐねる故に愚かよ。
ーendー