じゅうねんまえ

 

あれはいとしさをみつけた日

 

すきなことをなのもかも

 

投げだせた

 

 

はちねんまえ

 

いとしさがあまってとびだした

 

とりかえせるとわかってしまって

 

じゆうを知った

 

 

ななねんまえ

 

すきなことがまだのこっていたと

 

きづいた日

 

のこりも捨てられた

 

 

いくつもあった

 

いくつもあった

 

 

かなしみより

 

さみしさより

 

つたなくても

 

みじめでも

 

未練なんかなく

 

かれなかった

 

 

いちねんまえ

 

あれはすきなことをひとつひろった日

 

わたしをひとつゆるした日

 

 

それからひとつ

 

またひとつ

 

拾いながらわたしを取り戻した

 

そうおもっていたら

 

くゆる煙の外

 

きみを抱いた手を透かして

 

見上げた月は

 

ずっとわたしのままだと

 

報せて揺れていた

 

 

 

 

ーendー

 

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