つちふまず

 

つまさきだちで歩いたら

かかとが泣いた

さみしいよって

かかとが泣いた

クツシタ履けばいいじゃないって

彼女は言った

えぇそうねって

あの子も言った

 

クツシタ履いたら

つまさきばかり穴だらけ

ひとつ残らず穴だらけ

 

今度は五本指が

一斉に泣いた

ひどいじゃないかって

みんなで泣いた

おだまりなさいって

彼女は言った

ごらんなさいって

あの子も言った

 

「かわいそうなのは つちふまず

偏平足なら まだマシよ」

だって

 

そこへ彼がやってきて

違うだろうって たしなめた

「歩けるだけで 喜ばなくちゃ

つちふまずにも 失礼だろう」

だとさ

 

 

 

ーendー

 

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