サカナ
届けられない想いを
グラスに放り込んで 沈める
ひとりじゃ届けられない想いは
小石のように 沈む
そこに君が居て
手に 髪に 吐息に 触れ合えるなら
油のようにちりちりと
揺らめきながら 浮かぶのに
もしも誰かが
二人の想いに気付いたなら
想いは魚になってしまう
虹色の大きな尾をひらめかせて
グラスから逃げてしまうだろう
それならいっそ
小石のように沈んだままでいい
やわらかく揺らめかなくていい
想いがグラスから溢れないように
敷き詰めていよう
ヒトリの夜を過ごしても
想いがサカナにならずに済むのなら
届けられなくていい
沈めていよう
ーendー