ハピネス

 

ランプが灯り

弦が鳴り

煙がくゆり

グラスが交わり

宵に酔い

朝が来ることに

時を繰ることに

そして帰らないことに

 

ポケットからはみ出した紙切れの

新しい出会いに

思うほどに水嵩が増すことに

叫びたくなるほどに

でも呟きも漏らせないほどに

 

腹が減ることに

赤い血に

シャボン玉と野良猫に

誕生日の花束に

ビールの空き缶に

登りきった坂道に

知らない町のトモダチに

現実でしかない夢に

きみの隣に

正しいけれど理不尽で

悲しいけれど頑なで

嬉しいけれど卑しくて

温かいけれど痛々しくて

大きくて

小さくて

残酷で もっともで 確かな

やさしさに

そして泣くことに

 

わたしたちは約束を交わさず

歌のように寄り添う

わたしは気丈に振る舞い

きみは笑ってくれる

雨の桂浜 硝子窓の道

わたしを呼ぶ声 言葉

きみの横

きみの横顔 まぬけた写真

わたしたちが共有する時間は

足跡を残さず

花のように枯れてゆく

愛するが故のにくしみは

飲み込めるけれど

愛してしまった悲しみは

喉につかえて 涙に変わる

だから きみに

そして わたしに

 

ハピネス

 

空が青いから

 

 

 

ーendー

 

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