春は毛虫
夏は蝉
秋は落ち葉を見上げ
冬は寒いと首をすくめて
白く走る散歩道
緑と薄茶の川辺に
真っ白の猫は吸い込まれたまま
ダッフルコートのポケットに
両手を突っ込んだ彼は
ついに歩き始める
カンカンカンに
つられてやってくる電車に手を振り
もうすぐ次が反対から
来ることをわかって
歩き出さない
背中が茶色の猫を見つけて駆け出し
木陰に寝そべったので寄り添い
座り込み
ほどなくして鳴った警笛に
立ち上がる
私はその枝から
眺めているだけの鳩の一羽
ーendー