生々しい言葉を選んで
現実を泡のように
紡いでばかりいた
花びらの色を数えるような日々
片栗粉を溶かした雨を降らして
雲を固めようとしてた
きみの心も
赤と青と緑で出来ていると
信じてしまった
見つからないボリスヴィアンに
今夜も尋ねてみる
「消えてしまいたくて?」
「結び付けたくて?」
腕枕に眠る仔猫が
頬に鼻をくっつけて
少しだけ目を開けた
「数えた花びらの一枚をちぎって
プレゼントしましょう」
「それを舐めてあの人の手紙に貼れば
風が届けてくれますよ」
月と雲が目配せで
カーテン越しの私を起こす
日々を泡にする柔らかな儀式が
マッチの先から始まる
出窓の香箱座りが
風に日々を見送る
「動き始めた?」
ーendー