他人の犬を追いかけるリュックサックのスイングが小気味好い
横目に見切れるぬらぬらとした泥土の
そこに溶け込んでしまった人のことを
考えないわけではないけれど
どうか今は
忘れていることを許してほしい
パンタグラフに立てた早贄
家々に刺さる夕焼け
元気でいるよと応える時には
欄干をくぐってきたカボチャを思い出す
テスト中に呼び出されてみれば赤灯
もう浮かび終えたから
まだそこに居るはずだ
秋の代表者が両耳のピアスをもぎ取ろうとする
川辺に打ち上げられたペットボトルの40~50ほどと
服を着た品種改良による成功のハーネス
交互に見遣って「一緒」と言った
思わずぞっとしないでいたが
振り返って私を指差し「一緒」と笑った
これには冷や汗もすっかり渇いた
見落とした時間を推察しながら
買い物かごに酸っぱい葡萄を借りる
犬の目玉みたいにこちらを見ていた
ーendー