わたしはもうオトナだった
振り返って傍観
背中にタバコがしみて
アイツが泣かない理由を知った
向き直って鑑賞
枯れたしっぽを握ったのは
ウソの指輪をした右手だった
わたしはもうオトナだった
駆け引きでも純粋でもない雨が
通り過ぎてしまうことが
声をあげて泣くよりもこわかった
コマ送りのダブルベッドに
急ぎ足の朝が来て
電車に乗る為だけの三つ編みを
慎重に結わえ始めると
夜とお酒と涙と私の
どれが正しかったのかを
ペットボトルが問いかけてくる
わたしはもうオトナだった
輝かしい未来を掴んだ人が
暗い茂みを酔いに委ねる
明日はまだやってこないよと
バスルームの電灯が慰める
けれど
あなたはまだオトナだった
ーendー