何度 電池を交換しても
動かなくなってしまった猫
しっぽだけが揺れている
聞きたかった声を探して
覗き込むスマートフォン
十円玉の投入口が見当たらない
水を飲んで水の味を知り
白湯の温度に文句を言う
同じ味がしないのはきっと
洗濯物が乾くせい
歩くと遠い橋の向こうへ
きみを置き去りにしたばかりか
私はこちらで忘れられて
太陽と月の間際で迷ってる
間違えた始まりは悔やんでいない
けれど
始まりの儀式が恨めしい
それはまるで
愛のような心のわだかまり
ーend-