もうこれ以上
というところまで
今日を引き延ばして
得をした気になってみるけど
みんなが言う今日は
もう終わっているし
もう始まっていた
明日を思い出でいっぱいにするために
齧った林檎に
照れくさい名前を付けるみたいな
変わらずにいられる手段を模索して
二つに絞る
コップ半分を満たしたジュースは
甘いけど酸っぱくて
不慣れな手つきで巻いた紙から
はみ出した糸くずみたい
それっぽさはマッチ箱の傷跡
小さな瓶の中でジュっと音を立てて
鼻が追った残り香が趣味を教える
ふとんを蹴飛ばし始めた夜を見て
雨戸にタッチして走る風のことを
春と呼んでから眠る
ーendー