大きな二つの目は突然こちらを見た
鏡の中の
私じゃないところから
「両方」と呼ぶには
記憶も想いも違いすぎるとにかく
大きな二つの目玉が
こちらの方へごるりと翻った
なにかを
だれかを探している
見つかったら最後
よく動く黒目の中に閉じ込められて
見る側にされてしまう
しかし救いは
渇けば消えること
瞬きの一瞬で
二つの目玉はそのまま消えてしまう
渇くまで隠れていればいい
隠れるとはどういうことか考えながら
かたかたなる足を押さえつけろ
どっちがどっちかなんて同じこと
どっちにしろ《なにか》さ
ーendー