撞球室 棒倒し 芸術的な嘘を吐いて 男はパスタを食べに行く 文学的な洗濯をして 女は真実を見つけ出す 数学的な痴話喧嘩も 夕方には真ん中で落ち着こう 男だって 女だって 理性的な衝動も 結局 真ん中で落ち着くのさ ーendー ... 文月えん
撞球室 阿呆 白いスーツが 自慢げにこっちを見た 汚れた靴を履いてるくせに 半径3センチの金色ピアスが 自信ありげにこっちを見た 茶髪は枝毛だらけのくせに Tシャツにジーンズで ピアスも指輪もしてなくて 髪も黒いままの 半笑いの私が 憐れみを持って見返して 傷ひとつない指先で 空気に「あほ」と書いた この阿呆が ーen... 文月えん
撞球室 アンドロギュノスの否定 どんな女になろうかしら 選択肢は少ないけれど 二者択一ではないのよ なりたい女になれるのよ あんたの望む通りにも どんな女になろうかしら こどもにだってなれるのよ 母親にだって 天使にだって 女神にだって オモチャにだってなれるのよ 涙にだってなれるのよ あんたにだけは なれないけどね ーendー ... 文月えん
撞球室 アナクロニズム ほんの少しうたた寝ただけ なんだけど 慌てて飛び起きた時計の針は 行き過ぎたと勘違いして 寝呆けたままで 後戻り 進んでいいのよ と 呼びかける太陽は無い 繰り返すメトロノームが エイトビートで笑い続けて やっと気付く 思い込みさ 遅れてなんかいない ーendー ... 文月えん