応接間 御託 こんな夜は 雨の両手に祈る どうか私に触れないでと 人差し指の先でさえ 月を裂くに足りる 枯れちゃいないわ 萎れてもないわ まだ夜に咲ける 私ならここにいて 親指で御託を並べて フィオナに流される 新しい世界にも生まれてしまう 選択制の社会で シャープペンシルくらいの 王になれる ほしいかずちくらいの 王にな... 文月えん
応接間 サラサラ カラカラカラ わたしが渇いていく カラカラカラ あなたが冷めていく カランカランカラン ふたりが離れていく サラサラ サラサラ あなたが見えなくなっていく サラサラサラ サヨウナラ ーendー ... 文月えん
応接間 手をつなごう ぶつからないように 歩幅をずらして歩く わたしたちは そうやって すこしずつ 離れていく 寄りかからないために 寄り添えなくなる だから 強がるなら 手をつなごう ーendー ... 文月えん
応接間 風と悪戯 風と共に去ることは 美しいだろう 皮肉も言えないくらい 惨めだろう 「大丈夫」 きみの前で 顔で笑って心で泣いても 「だいじょうぶ」 背を向けて 心から笑って舌を出すよ 風と共に去るように きみを惑わせて 跡形も無く ーendー ... 文月えん
応接間 99の素敵な帽子 きみならどうする? 地上3階のこの部屋には今は何も無いんだけれど ぼくは帽子屋さんをしようとは思わない 99の素敵な帽子 きみならどうする? その世界に何の意味も見つけられなくても ぼくには否定することが出来そうにないんだ 99の素敵な帽子 ぼくがかぶるには素敵すぎるけど きみがかぶるには悲しすぎる ーend... 文月えん
応接間 オトナ論 わたしはもうオトナだった 振り返って傍観 背中にタバコがしみて アイツが泣かない理由を知った 向き直って鑑賞 枯れたしっぽを握ったのは ウソの指輪をした右手だった わたしはもうオトナだった 駆け引きでも純粋でもない雨が 通り過ぎてしまうことが 声をあげて泣くよりもこわかった コマ送りのダブルベッドに 急ぎ足... 文月えん
応接間 宵待草 君はここに居ちゃいけないと あの時きみはうたってた ちゃんと声は届いたよ どんな言葉も聞こえたよ そしてわたしはここに居る 僕はそこへは行かないよと あの時のきみはうたってる 切ない声で届いたよ 冷めた言葉は聞かないよ だからわたしはここに居る わたしはとてもワガママ きみがなんと言ったって ここに居よう わたし... 文月えん
応接間 Break time もしもこのまま今日が終わらなかったら あなたはわたしの隣にいてくれるのかしら もしもじっとしていて時間が止まるのなら わたしはきっとあなたの隣を離れないわ もしも時計を壊して身動きが取れなくなるのなら あなたの腕時計を一つ残らず壊してしまいたい でも わたしったら ひとり どこかに続いているオートウォークに乗... 文月えん
応接間 逃亡 わたしはわたしで きみがきみじゃないなら 明日は昨日より鮮やか あのこが駆けていくよ 時計仕掛けのウサギを チョッキ引っ掛けたウサギを あのこが追いかけていったよ 昨日みたいな 明後日に向かって わたしじゃないきみは あのこを追いかけているんだね ーendー ... 文月えん