書斎 ニビイロ ゆっくりと歩く。 足音を忍ばせた猫みたいに。 真昼の街を歩いていると 授業を抜け出して堤防や河原へ向かった 学生時代を思い出す。 道行く人は 何かしらの目的地を目指して 猫背でスタスタと 私をすり抜けていく。 いつもの私なら スッと背筋を伸ばし 目的地なんか無いのに 靴音高く人々を追い越して歩く のに、今日は違... 文月えん